歴史は「べき乗則」で動く 第4章

べき乗則についてさらに突っ込んでいきました。

べき乗則の性質スケール不変性は自然界・人間社会で多くみられる。
マンデルブローによる綿花価格変動などの発見。ブノワ・マンデルブロ - Wikipedia
安定分布安定分布 - Wikipediaになっており、スケール不変になっている。
また、エイリー・ゴールドバーガーによる心拍数の自己相似性の発見。

このような自己相似を数学の概念で「フラクタルフラクタル - Wikipediaと呼ぶ。
文章中ではコッホ曲線コッホ曲線 - Wikipediaが例に挙げられていた。
(測度で勉強したカントールカントール集合 - Wikipediaフラクタルだったとは意外なつながりがあった。)

続いて、ではフラクタルを編み出すものはなんなのか?に移っていく。
1つにはカオスがある。
本文中では加速器の電子の振る舞いを図にしたチリコフ=テイラーの標準マップを見て、カオスな領域と安定な領域がフラクタルになっていることを説明していた。
(『マクロ経済分析』岩波書店を読むと、数理経済学では複雑系をカオスから説明しようとしているのだと感じた。)

もう一つは「歴史」を見ていくしかない。
「歴史」の重要性を教えてくれるものに拡散律速凝集http://zeong.s.chiba-u.ac.jp/pdf/dla-.pdfというゲームがあり、「歴史」が違うために同じ結果は存在しない。
それでも、できた結晶にはスケール不変性が存在している。
これは生物学における偶然凍結説偶然凍結説とは何? Weblio辞書にも見て取れる。

異なる歴史的過程が作られるゲームの中には現実世界にも存在するものがあるかもしれない。
べき乗則は、それを見つけるための一種の道しるべになっている。

5章は砂山ゲームと地震のモデル化ゲームから地震の臨界状態への自己組織化を見ていきます。